こんにちは、CSジャーナル編集長の大塚です。今回は、CS実践者インタビューということで、日本でただ一人「カスタマーサポート エバンジェリスト」として活動している藤本大輔さん(現在はコードキャンプ株式会社でCSを担当しながらカラクリ株式会社のCS顧問を務める)と共に、株式会社さくらインターネット カスタマーリレーション部 部門長の榎本さんにお話を伺ってきました。
さくらインターネットは法人から個人までを対象に、レンタルサーバーなどのITインフラを提供し、ユーザー数は47万人を超えています。CS部門では、47万ものユーザー一人ひとりに対してパートナー企業と協力しながら日々丁寧に顧客対応していらっしゃいます。
今回のインタビューでは、「パートナー会社とうまく付き合うにはどうすれば良いのか?」「どんな人をCSに採用して、マネージャーに起用すれば良いのか?」「遠隔でのマネジメントのポイントは?」「効率性ではなく、CSの本質的な価値を追求するには?」など、47万人ものユーザーを電話サポートするCSチームのマネジメントについてお聞きしました。
1972年東京都大田区生まれ 千葉県市川市在住
<略歴>
1994年 コンビニエンスフランチャイズ本部に新卒入社 店舗経営相談員
1999年 業務系ソフトハウスに転職 プログラマー⇒SE⇒システム営業
2006年 さくらインターネットに転職 法人営業部門管理職を10年経て
2016年4月からカスタマーサポート部門に配属、現在に至る
(参照:https://www.slideshare.net/knowledge_sakura/cs-young-meetup)
ユーザー数が増えてもCSの効率化を追求しない理由
藤本
まずはさくらインターネットのCS概要と役割を教えていただいてもよろしいでしょうか?
榎本
CSは正社員とパートナー会社を合わせて70名くらいで運用しています。問い合わせは電話とメールでの対応になります。当社CSで特徴的なのは、サービスの利用金額問わず電話対応していることです。
なので、どうしても電話でのお問い合わせ数が多くなりますので、パートナー会社へ一次対応の協力をお願いしています。
そして、比較的高単価のサービス、二次対応については正社員が対応というように分けています。
藤本
現在はB to BとB to Cではどちらの方が多いのでしょうか?
榎本
売上としてはB to Bの方が大きいですが、お客様の数としてはB to Cのほうが多いので、お問い合わせ数自体はB to Cが多くなります。
ここはジレンマなのですが、売上をベースにCSを考えてしまうと、圧倒的に法人のお客様を優先するようになってしまいますが、そうすると個人のお客様をないがしろにしてしまいます。
お客様の数でいうと6:4くらいで個人のお客様の方が多いので、その対応のためにきちんと人数を揃えているのが当社CSの特徴の一つかなと思います。
藤本
それは効率的にやらないと費用もかかってきてしまうのではないでしょうか?
榎本
当社自身は、効率化を追求したくないといった想いがあります。
KPIとして応答率や一次解決率、席数の充足率は現場で測っているのですが、私への報告は不要にしています。というのも、KPIを意識しすぎると「どうしたら応答率が上がるのか?」といったことにフォーカスしてしまうからです。例えば、雑な電話対応をして「それはサポート外です」と言って、すぐに電話を切ってしまえば応答率は上がりますが、それは本末転倒だと思っています。
藤本
それは効率を追い求める弊害ですね。では、絶対に抑えているポイントは何ですか?
榎本
つい最近出した指示だと、ある違法サイトのブロッキングの問題がありました。ブロッキングの問題はウェブホスティングにとって重要な問題なので、その件に関するお客様からのご意見やお問い合わせは私まで上げてもらうように指示しました。
藤本
自社サービスの問題でなくても業界として注意しようということですね。
榎本
そのあたりの現場の雰囲気、お客様の声を経営に届けるのも我々の役目の一つだと思っています。経営は経営で情報収集をしていますし、エンジニアもエンジニアのコミュニティーから情報収集をしていると思うのですが、CSはお客様に近い立場や視点から情報を収集して社内に共有する。その結果それで先手を打っての経営判断に寄与できることを目指したいと思っています。
手段が目的化してしまうことの危険性
大塚
CSの現場から上がってきた情報を全社に共有するために、定例会議等はあるのでしょうか?
榎本
月に何度か定例会があるので、その場に応じてVOCのことを伝えたり、プロダクトのフィードバックの報告などをしています。また、組織上の問題点を報告する会もあります。ただ、先ほど話したような私が応答率などを会社に報告する機会はありませんね。
藤本
僕はコールセンター側にもいたので、クライアントの担当者へ毎月・毎週、応答率や充足率を報告しているのですが、そこをキーとして仕事しなくても良いというのは、仕事を受ける側からしても働きやすい環境だと思います。
実際、CPHについて「ここまで言ったら切るようにします。」と決めておくと、1回の対応が早くなり、電話を取れる回数も増えるので、数値は改善します。でも、仕事から作業になってしまいます。
コールセンターの営業としては「効率が良くなり、席数・コストも減らせますよ。」といった見せ方もあるのですが、クライアントがコストのことだけを考えていると、CSとしておかしな方向に行ってしまいます。
榎本
本当にそうですよね。私も赴任してきた当初は一次解決率(お客様の問い合わせを対応したオペレーターがエスカレーションせずに完結できたかどうか)を追っていたのですが、そうすると「絶対にエスカレーションさせないこと」が目的になります。
中にはエスカレーションすべきお問い合わせであるのに、何とか一次解決しようと無理した対応をしてしまうといった話が現場で出ていたので、私までは上げず、現場管理指標で留めることにしました。
役割を限定することでパートナー会社とうまく付き合う
藤本
そういった対応をパートナー会社とうまくやっていくのは永遠のテーマですよね。
榎本
パートナー会社には、我々の方針を理解していただいて色々な取組みに協力をしてもらっています。とはいっても、パートナー会社も商売で事業をしているので何でも無制限にお願いをしないというのは一つの解なのかなと思います。
パートナー会社の営業担当者が「何でもやります!」ということをセールストークとして言うこともあるそうですが、それを誤解したクライアント側が、下請けのように丸投げしてしまうことはやめた方が良いと思っています。
藤本
請け負う側も何でも引き受けると、やることがどんどん増えて追いつかなくなるので、良いことはないですね。
榎本
結局、その状態で運用しても最初に約束していたことすらも達成できなくなって、クライアント側もどうしていいか分からなくなり、パートナー側も品質にコミットできないといったことになってしまいます。
なので、不必要にやることを広げすぎず、「この部分だけをこの体制でこの品質で」ということを定義をして限定的にお願いする方が良いでしょう。
藤本
丸投げしてしまうとクライアントがコントロールできず、ロックインしてしまう恐れもありますよね。
榎本
クライアント側の怠慢や馴れ合いが元で両社がお互いに言いたいことが言えない状態は不健全なので避けたいですね。
藤本
お互いに緊張感を持って、良い仕事をするためには、適度な距離感が必要ですよね。
榎本
今、お付き合いさせていただいているパートナー会社とは節度を持って良い関係で関われていると思います。
CSのマネージャーを起用する際のポイント
藤本
CSチームが大阪にあるとのことですが、榎本さんは大阪にはどれくらいの頻度で行かれるのですか?(※榎本さんは東京勤務)
榎本
毎月1回1週間は大阪へ行くようにしています。実は、東京にはCSの部下がいないんです。部全体で90名くらいいるのですが、ほぼ全員が大阪に在籍しています。
なので、現場での判断は現地に任せています。大きなお金が動く場面では私が決裁権を持ちますが、お客様の案件をどう対応するか、などは現場のマネージャーの判断に委ねています。
大塚
逆に東京にいるのはなぜなのでしょう?
榎本
私はCS以外に本部全体の活動も兼ねており、それらはどうしても東京メインとなるためです。大阪のマネージャーが新しくなったこともあるので、できればもっと大阪に行きたいんですけどね。ただ1週間出張となると体力的には辛いです(笑)
藤本
新しくマネージャーに起用された方のポイントは何だったのでしょうか?
榎本
前任のマネージャーは10年近くやっていたので、色々な面でいきなり1名に引き継ぐのは難しいと思い、マネージャー業務を2名に分割しました。起用した2名のうち一人は入社半年ですが元々他社のCSマネージャー経験者で管理職経験自体も豊富でとても安定感はありました。
もう一人は、入社3〜4年目で今回社会人になって初めての管理職となるのですが、彼の良いところは、CSは本当に凄い価値を持っているんだということを信じてそれを高めていこう、そしてそれがお客様の成長に寄与することができると本気で思っているところです。そういう熱い想い、社内用語で「熱量」と表現しているのですが、その熱量が彼を引き上げるうえでの大きなポイントになりました。
藤本
自分の仕事が好きな人は上司としても引き上げたくなりますよね。
榎本
そうですね。会社の方針としても安定成長ではなく野心的な成長目標を立てていることもあり、今までの延長線上で改善を積み重ねていくやり方では、その成長曲線に合わないので根底からひっくり返せる人材が必要でした。
だから、前任マネージャーとは全く違うアプローチができる可能性のある人材を引き上げないといけないという面はありました。私もかなり悩みましたが、本人が一番悩んでいました。「持ち帰って妻と相談して良いですか?」と言ってました(笑)
藤本
前任のマネージャーが優秀というのもプレッシャーでしょうね。
榎本
それはあると思います。口下手でコミュニケーションをきちんと取れる自信がないと言ってたのですが、「大丈夫だからやってみよう!」ということでマネージャーをやってもらいました。今では前に出て話すこともとても上手になりましたよ(笑)
遠隔のマネジメントをスムーズに行う方法
大塚
大阪にいる部下の方に遠隔でマネジメントするのは難しくないですか?
榎本
そうですね。すぐ側に部下がいる時と同じやり方をしたらよくないでしょうね。
遠隔には遠隔のやり方があると思います。例えば、私は普段よくテレビ会議を使うのですが、回線やマイクの問題で語尾が聞き取りにくいことがあります。大抵の場合、多少聞こえないことがあってもそのまま流してしまいがちなのですが、そういったことの積み重ねが重要なことを聞き逃したりすることに繋がるので、私はどんな些細なことでも必ず聞き直すようにしています。
また、信頼関係ができるまではできる限り対面できちんと話すようにします。そして、話をするときは「何をどうしたのか」という現象面ではなく「なぜそう思うのか」ということを話すようにします。そうすることで相手の思考が理解できるようになってきますので、「今、彼はこんなこと考えてるな」というのが離れていても分かるようになり、遠隔でのコミュニケーションでもそこまで支障がなくなります。
CSで人材の流動化が進みにくい理由
藤本
同じ人がずっとマネージャーをやっていると、良くも悪くもその人がルールみたいになりますもんね。
榎本
その人の色が出すぎるんですよね。まわりも無意識のうちにその人の好む発言をして、嫌がる発言をしなくなるんです。
藤本
コールセンターでも社歴の長いベテランSVが力を持ちすぎるという問題があります。
榎本
そこにCSの組織的問題があると思います。
一般的にCS職は人材の流動性が低いんです。それが周りからCSの価値を低く見られてしまう一因だとも考えています。
CSに求められているスキルセットや評価の基準が業務に寄りすぎてるからだと思います。CSのスキルセットを覚えてしまうと、日々の業務は事足りますので、新しいスキルを身につけなくなるといったことも起きると思っています。
これらの理由が重なり、CSは人事異動しづらい傾向にあると思っています。
CSの本質的な価値を高める
藤本
効率化の目標があまりにも強いと、他部署からCS業務に慣れていない人を入れることで数値が下がるリスクを気にして、より安定思考になってしてしまいますよね。
大塚
それはCSに求めている役割やミッションが関わってくるのでしょうか?
榎本
CSを典型的なコストセンターだと見て、コストの削減や効率化をミッションにしてしまうと、藤本さんのおっしゃった通り、ベテランを抜けなくなりますよね。そこを効率化ではなく「どう価値をあげるか」に持っていければ解消するかと思います。
ただそこは難しくて、当社も本当にそこができているか?というとちょっと心もとないところはあります。
藤本
例えば、営業職だと対法人や対個人、新規営業やルート営業訪問など色々経験させた方が成長するといった考え方があると思います。一方でCSの場合、スペシャリストに特化させようとしてしまう傾向があるように思えます。
中にはメールの返信とかすごい早い人がいて、よくわからない最適化をしてたりするんですけど、そこに価値はあるのかな?と思うこともあります。どれだけ効率化しても自動化には勝てないので、もっと別の価値を提供していかないといけないと思います。
顧客満足度の他に絶対に抑えてくべき指標
大塚
先ほど価値の向上というお話がありましたが、どんな取り組みをされているんですか?
榎本
もちろん顧客満足は大切なのですが、私はそこだけを追い求めていてはダメだと思います。経営に対し「満足したお客様にどういう行動を取って欲しいのか」という期待値をコミットしていくことが価値向上に繋がるし、CSの役割になってくると思います。
弊社の場合はストック型のビジネスですので、サポートセンターに電話をかけて頂き、もしそこで満足を感じて頂いたのであれば当社のサービスを使い続けて頂きたいという期待があります。だとしたら、サービスの継続率の増加や解約率の低下にCSがコミットした方が良いのではないかと思います。
また追加でリピートをして頂きたいという期待もあるのですが、これはお客様に新たなITインフラ需要があることが前提なので、無理強いするのはおかしな話と思っています。ただもし自社で需要がない場合であっても他社に口コミで紹介してほしいという期待も持っていますので「さくらインターネットすごく良かったよ。サポートも良かったし、使ってみれば?」というような口コミによる新たなお客様の流入にもCSがコミットするといったことをしていきたいです。
大塚
それはCSの目標の設定の仕方がすごく重要ですね。
榎本
そうですね。満足度を測るのも重要なのですが、「満足度」は人によって評価基準が異なりますからね。
不満足の対極に満足があるわけではない?満足度の指標を考える
藤本
実際はサービスに満足しているのかサポートに満足しているのかわからない側面もありますよね。各方面から怒られそうなのですが(笑)、僕の持論ではそもそもCS職の成果が分かりにくいので、分かりやすくするために満足度を測っていると思います。その延長線上でNPSがあったりするのかなと思います。
榎本
もし私が満足度の指標を組み立てるとしたら、満足度と不満足度は別にしますね。今は一直線上ですが、満足度の上下と不満足度の上下は別だと思っています。例えば、電話が繋がらないことは不満足度が上がる要因ですが、逆にワンコールで電話に出れたからといって、満足度は上がらないんです。そこを分けて考えないと本質を見失うと思います。
藤本
確かに、電話に早く出れたことに感動することはないですからね。分けて計測することは大切ですね。
データを収集して継続率と問い合わせの関係を導き出す
大塚
そうなるといろんな指標を取らないと判断がつかないと思うのですが、どんな指標を取っていらっしゃるのですか?
榎本
実はこれから取っていく予定でして、この4月に部署に新しいユニットを設立して色々な角度や視点からデータを集計分析する体制を整えました。恥ずかしい話、現状1日にどれくらいの電話があるかは分かりますが、お客様全体の中で過去に1度でも電話をしてくれた方がどれくらいいるのか、過去1ヶ月何名が電話をかけているかは分かりません。
藤本
では、これからは顧客データベースと紐づけていく、ということですか?
榎本
今、情報の基盤を構築しています。ツール導入も考えているのですが、ツール導入ありきだと運用する人がツールに頼りきりになってしまうので、まずは自分たちでデータを取れるようになることを目指します。ツールを導入して便利にするのは良いのですが、最初からツールありきというのはおかしいですからね。
藤本
結局SQLやExcelの関数は道具でしかなくて、そこで得られた数字を使って何を導き出すのかが大事ですよね。
毎年30%のメンバーを意図的に入れ替える理由は?
大塚
そうなると人材の教育が難しいと思ったのですが、榎本さんが思うCSに向いている人材というのはどういった方なのでしょう?
榎本
私が唯一見ているのが<「この人がCS以外の部署に配属になった時どうだろうか?」という点です。
CSに関するスキルは1次面談でマネージャーが見てくれているので、CSとしての経験やスキルの高さというより、いわゆるビジネススキルと言われる、課題を発見する力・論理的に分解することができる力・それらを因果関係で捉えて仮説を立てることができる力・周囲を巻き込んで実行できる力、といった能力を重視します。
また「成長する」こともとても大事だと思っています。私は「成長」とは「やったことがないこと、できないことができるようになる」と思っていますので、新しいことを覚えるチャンスを増やすためにCSには定期的なジョブチェンジが必要だと思います。カスタマーリレーション部は1年間でメンバーの30%が入れ替わるようにジョブチェンジを推奨しています。3年経てば9割が入れ替わるので全く新しいチームになるという目論見です。
自分の成長があるから、お客様の成長に寄与する事ができ、お客様が成長することで結果としてさくらインターネットも成長していくと思います。
藤本
理論ではわかってもリスクを考えると少し躊躇してしまうところも多いでしょうね。
榎本
実はいま話した成長の話、私個人の考えではなく、代表の田中の考えです。そういう意味では後ろ盾があるというか、新しいことに取り組んで良いという土壌が会社にあるので私としては思いっきりやることができる、といった感じです。
藤本
会社としても挑戦的に新しいスキルを身につけることを応援しているのですね。
榎本
ここ数年の会社の方針が熱量・成長・チャレンジといった言葉が並びます。
一時期、効率化を目指してコスト削減を方針としていた時期もあったのですが、利益はすごく出るけれど、売上が鈍化していき、社員が定着しないといった状態になっていました。市場の成長率よりさくらインターネットの成長率が低くなって、このままだとマズいということで方針を変えました。
方針を変えた当初は、それまではコスト削減を目指していたので戸惑いがありました。ようやくこの4、5年で変わってきているのかなと思います。
大塚
先ほど30%入れ替えの話がありましたが、やってみての変化はありましたか?
榎本
異動した本人自体はいろんなことを知る事ができて、できない事ができるようになったという事があったのはもちろんですが、CSを全く知らないメンバーを受け入れた事で受け入れたCS側も良い方向に刺激を受けた点があります。また、イチから業務を教えるという機会が各所で発生したという効果もあったと思います。人にものを教えることで改めて自分の理解を深めることができますので。総じてジョブチェンジは肯定的に捉えてもらえていると思っています。
大塚
アウトプットの機会があると成長しますもんね。
今、注目のサポートチャネルは「対面」
藤本
今後、CSで用いるチャネルを拡大する予定はあるのですか?
榎本
サポートチャネルの拡大は考えています。LINE、Twitter、メッセンジャーなどを始め、そもそもチャットをやっていないので、そこには取り組みたいとは考えています。
ただ最も取り組みたいことが対面サポートの拡大です。CSが会社の外に出てサポート相談会を開くといったことを積極的にしていきたいです。また、「~さんのサポートを受けたい」という指名サポート制、といったこともやりたいですね。
その辺りのサポートチャネルの拡大は今年のCSの大きなテーマの一つです。
CSの仕事を心から楽しめる人が増えるように
大塚
では最後にCS業界に対して一言いただけないでしょうか?
榎本
私自身がやりたい事でいうと、CSの価値を高めて、そこに携わるメンバーの待遇を上げたいというのはあります。CSは業界的に非正規や離職率の問題もありますから。一言で言うと皆さんが楽しくCSの仕事ができるように、私ができることをやりたいと思います。
藤本
だからコミュニティー運用を続けてるんですね。
大塚
榎本さんの話を聞いていると、CSに携わる方の成長が価値を生むことへの想いを強く感じました。本日はありがとうございました。
まとめ
様々なCS実践者へインタビューをさせていただいておりますが、「強いCSチームを作るためのマネジメント」という点で非常に価値あるお話だったと思います。例えば、
・毎年30%ものジョブローテを行い人材の流動性を高め、様々な経験をしてもらい、成長を促進する。
・東京⇔大阪と遠隔だからこそ、日々のコミュニケーションを丁寧に行う
・顧客満足度だけでなく、その先の継続率などの期待を明確にしていく。そして、それをいきなりツールに頼るのではなく、自分たちでデータを取るようにしていく。
・パートナー会社との付き合い方、マネジメントの仕方
など、長期的に見て、強いCSチームを作るためのヒントが沢山ありましたので、ぜひ参考にして欲しいと思いますし、僕自身も自社に取り入れていきます。
CSに関わる人が楽しく働ける社会を作るための榎本さんの挑戦を、今後も応援したいと思います。
■大塚 真吾
プロサッカークラブのマネジメント職を経験後、ダイレクトマーケティング支援の株式会社ファインドスターに入社。サブスクリプション型の通販のマーケティングを100社以上支援。2013年、スタークス株式会社に入社し、2016年取締役に就任。現在、クラウド型の物流プラットフォーム「クラウドロジ」とLINE@に特化したCSツール「CScloud」を提供。
■藤本 大輔
1982年 福岡生まれ。テレマーケティング会社で電話営業を経験の後、コンタクトセンター運営会社に移り約10年間大手インターネットサービスプロバイダのコールセンターマネジメントに従事。その後、大手ソーシャルゲーム会社のCSを経て、フリマアプリ運営会社のCSグループマネージャーとしてチャットサポートの導入やCSイベントの開催を主導。現在はコードキャンプ株式会社のCSチームを率いる。本業の他に日本で唯一の「カスタマーサポート エバンジェリスト」として、コンサルタントやCSイベントの企画などで活動中。キャッチコピーは“CSに狂っている男”。